マルチリージョンDR設計 4つの戦略をRTOとRPOから選び分ける
SAP-C02では「災害対策を強化したい」という要件が繰り返し登場しますが、正解は常に一番手厚い構成とは限りません。問われているのは要件として提示されたRTO(復旧までの時間)とRPO(許容できるデータ損失)に対して、過剰でも不足でもない構成を選ぶ力です。ここでは4つの標準的なDR戦略を、判断の順番とともに整理します。
覚え方は「復旧時間・データ損失・平常時コスト」の3つの観点
DR戦略の比較は、この3点だけで整理できます。復旧時間を短くしたければ、あらかじめセカンダリリージョンで動かしておく必要があり、その分だけ平常時のコストが上がります。逆にコストを抑えるほど復旧に人手と時間がかかります。問題文に「数分以内に復旧」「データ損失は許容しない」「コストは最小限に」のどれが書かれているかで、選ぶべき戦略はほぼ決まります。
バックアップとリストア
AWS Backupでスナップショットを取得し、クロスリージョンコピーでセカンダリへ複製しておく方式です。平常時にセカンダリでリソースを動かさないため最も安価ですが、復旧はCloudFormationでの再構築から始まるためRTOは数時間から24時間規模になります。使いどころは、社内向けの分析基盤やバッチ処理など「1日止まっても事業影響が限定的」なシステムです。
パイロットライト
データベースだけをセカンダリリージョンへ継続レプリケーションし(Aurora Global DatabaseやDynamoDB Global Tables)、アプリケーション層はAMIとテンプレートを用意して停止させておく方式です。RPOは秒単位まで縮まり、RTOは数十分規模になります。使いどころは「注文データは1件も失えないが、復旧に30分は許容される」といったECの受注基盤などです。
ウォームスタンバイ
本番と同じ構成をセカンダリでも最小サイズで常時稼働させ、災害時はAuto Scalingでスケールアップして受け切る方式です。RTOは数分規模。使いどころは、たとえば「RTO 15分・RPO 1分」のような金融系の周辺システムで、常時フル構成のコストまでは負担できないケースです。
マルチサイトアクティブ・アクティブ
両リージョンで本番トラフィックを処理し、Route 53のレイテンシールーティングやヘルスチェックで振り分ける方式です。RTOはほぼゼロですが、コストは倍近くになり、書き込み競合の設計(DynamoDB Global Tablesの最終書き込み優先など)も必要です。使いどころは「ダウンタイムゼロ」「グローバルの低レイテンシ提供」が明示された基幹サービスです。
| 戦略 | RTOの目安 | RPOの目安 | 平常時コスト |
|---|---|---|---|
| バックアップとリストア | 数時間から24時間 | 数時間 | 最小 |
| パイロットライト | 数十分 | 秒から分 | 小 |
| ウォームスタンバイ | 数分 | 秒 | 中 |
| マルチサイト | ほぼゼロ | ほぼゼロ | 大 |
チェックリスト
- 提示されたRTOとRPOの数値から、4戦略のうち候補を2つ以下に絞り込める
- Aurora Global Databaseの一般的なRPO(1秒未満)とフェイルオーバー時間を説明できる
- Route 53のヘルスチェックとフェイルオーバールーティングでDNS切り替えを設計できる
- ウォームスタンバイとパイロットライトの違いを「アプリ層が動いているか」で説明できる
- リージョン間のデータ転送コストとレプリケーション遅延がトレードオフになる点を意識できる
まとめ
DR戦略の選択は、暗記ではなくRTO・RPO・コストの3軸での消去法です。まず数値で候補を絞り、次にコスト要件で決める、という順番を身につけておくと、本番の長文問題でも迷いません。 理解度の確認にはクイズが便利です。試験範囲や申し込みの最新情報はAWS認定 公式ページもあわせて確認してください。
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